中坊進二の京都一人旅、等持院に

等持院京都市内の北東に位置し、近くには龍安寺仁和寺がありますが、中坊進二が思うにあまり観光客の多くないお寺です。立命館大学のとなりに位置しており、嵐電を使って等持院駅でおりて徒歩10分、または市バスで立命館大学付近で下車し歩いていくこともできます。
等持院は暦応4(1341)年、足利尊氏によって創建され、尊氏の死後、足利将軍家菩提寺として今日まで守られてきたお寺です。京都の他のお寺と比べると小さめの印象があるお寺ですが、なかには立派な池泉回遊式庭園があり、霊光殿には歴代足利将軍の木造が安置されています。衣笠山を借景とするお庭を眺めながらお抹茶を頂くこともでき、人が少ないお寺なのでゆっくりと過せるところが中坊進二としてはお気に入りです。
こちらのお寺は、直木賞作家である水上勉が小僧時代に修行をした寺としても知られています。その小僧時代に、お寺や住職の裏側をこれでもかというくらい知ってしまった村上氏。彼が小説家として才覚を見せてきたころ『雁の寺』を執筆します。神聖であるべき寺の実態を書いたこの作品はその後直木賞を受賞しました。
実際にこの小説のモデルとなったのは別の寺ですが、中坊進二としてはこの小説を読んでから等持院を訪ねるのがおすすめです。水上勉がどんな気持ちでここで修行したのだろうかと、思いをはせずにはいられません。
水上氏は京都と縁の深い人なので、その他『五番町夕霧楼』や『金閣炎上』を読むと京都の町をより深く楽しめます。京都の一人旅に小説は、よい相棒になるのではないでしょうか。