中坊進二と京都、祇王寺へ赴く

嵯峨野を代表する寺院の一つである祇王寺は、大きな建築物はありません。草庵が最も大きな建物で、一般の住宅よりも小さく感じます。何の変哲も無いこの寺へ通い詰めるのが、中坊進二の嵯峨野での楽しみ方です。嵯峨野は京都の他の観光地とは違い、観光客がごったがえす場所ではありません。竹林の中の日本情緒溢れる光景を見ながらの散策は、京都の新の良さを感じさせてくれます。中坊進二はいつも、季節をずらして嵯峨野を訪れます。中でも祇王寺と常寂光寺は必ず立ち寄るお寺です。どちらも規模は小さいながらも、日本の美しさの真髄を見せてくれます。竹林は嵯峨野を言い表す形容詞となりますが、季節ごとに表情を変えます。春の新たな生命の息吹が感じられる時期は、新鮮な気持ちになれます。夏も涼しく散策を楽しめ、秋の紅葉はみごとです。しかし、嵯峨野の冬は息をのむ美しさです。この季節に訪れる祇王寺から大覚寺までの小道は、京都でも屈指の遊歩道だと中坊進二は思います。雪は結晶が小さな牡丹雪です。めったに積もることはなく、地面に達すると溶けてしまう程度です。嵯峨野は雪の舞う光景が良く似合います。深深と降り続く雪の中で見る草庵はまことにきれいで、見ているだけで心が洗われます。この季節は観光客もまばらです。静かに京都を独り占めできる幸せは、何にも変えがたいものです。散策に疲れたら大覚寺までの途中の飲食店に立ち寄ります。たまには贅沢し、湯豆腐や精進料理をいただきます。